山葡萄の蔓の採取は奥山の険しい人を寄せ付けないような場所で行います。当初は夢中で採取をしていました。 蔓の生態、特性など何もわからずです。採取を続けてきて少しづつわかりかけてきました。それは山で会う人たちや 今まで採取をしてきた人たちから教わることが多くとても参考になりました。まだまだ分からないことがたくさんあって 蔓採取は不十分です。山葡萄の生態、品質、蔓の良し悪しなどこれからも学ぶことがとても多くあります。新しく知りえたことを 次の方が多くの時間を要しないで学ぶことができるようなるべく詳しくこのホームページ上で紹介をしていきたいと思っています。 ・・・でも知識が不十分なので間違っていることも多く記載されてるかもしれません、うのみにせずにご自分でも検証してくださいね・・・・


山葡萄蔓

やまぶどうの蔓採取地
・・山葡萄の蔓を採取し始めたのは2013年です、知り合いの山に入って採取したのが始まりです。そのときは山葡萄の蔓ならどんな物でも 構わないと思っていて選別することなく採取しました。それから皮を剥いで紐ということで「篭編み」を始めたのです。一回目の講習会での 材料はその材料を使いました。講師の先生がその紐を見て驚いたに違いありません。・・がそんな素振りを見せずに先生が利用している「山葡萄の皮」を 見せてくれました。・・・自分が採取したものと「違うな」と感じましたがその違いがわかりませんでした。・・「山葡萄の皮」がどうしても必要ということで 長年編み続けているお客様へお届けしましたが「違う」というのです・・利用している「見本」を送っていただきました。・・「違うのです」・・ あれから1年、山葡萄の皮の知識が少し増して今はあの「見本」と同じようなものが採取できるようになりました。・・ 採取地は奥地「ブナ山」です。立派な山葡萄の樹木が生息していました。

やまぶどうの蔓
・・野生天然の葡萄で、奥山に多く自生しています。 紅葉時、赤茶色の大きな葉が木に絡まり下に垂れ下がっているのを見かけることができます。 自生地は、笹や雑木が混み合った、人をあまり寄せ付けないような場所が多く 幹の太さは10数センチ大になることもあります。普通の蔓類の植物は枝本体が他の樹木などに 絡み付いて成長しますが、山葡萄などは枝のところに巻きヒゲがあってこの巻きヒゲを他の樹木に 絡ませて成長します。この巻きヒゲがなかなかの優れもので葉の付けねのところから芽を出し絡みつくものを クモが巣を作る時のように体を風に任せて揺らして探し求めます。巻きついたヒゲはひ弱そうですがとても 丈夫で多くのヒゲで協力して数十kgの本体を支える能力を持っています。

やまぶどうの枝はまっすぐ
・・山でのつる性の植物は樹木には厄介な存在です。他人に寄生して伸び続け時には寄生木を倒木させてしまうのですから・・・ 人の手が入る下刈りされる山ではつる性の植物は切りとられてしまうのでこれらを見かけることは少ないのです。でも奥山では 切り取られることなくどんどん伸びていきます。つる性の植物で多いのは「クズの木」です。山一面にはびこっているのを見かけます。 「クズの木」は低地、里山が生息地でどこでも見ることが出来ます。奥山では「サルナシ」「山葡萄」を多く見かけます。両者は切り取られることがなければ どんどん長く伸びて太くなり寄生木を脅かすほどの存在となります。ブナ山の木々は成長過程で自然に間引きされ木々の間隔は5~10mぐらいとなることで 山葡萄たちは他の木に巻きつく術を失い里山で見かける他の木に絡み付いて横に伸びた状態はできなく一本の木に存在して伸びることとなります。 そのことでツルはまっすぐな状態で伸びて編み物には都合の良い紐が採取できることになります

やまぶどうの蔓は梢をめざす
・・「サルナシ」「山葡萄」の蔓は木の成長と共に伸びて大木となります。木の高さは20mぐらいに達しても 山葡萄たちは木の梢に太陽を求めて伸びていきます。木の梢付近では他の木々も枝を伸ばし葉が繁り太陽を遮るほど込み合って います。これは山葡萄たちには好都合です。梢付近でやっと他の木に侵略して勢力を拡大できるのです。植物は日光が成長の条件です。 奥地の山々では大木が日光を遮る為に小さな樹木は大きく成長することが難しいのです。山葡萄も成長するためには日光が欠かせないので 木の成長に合わせて伸びて大きな木に絡みつく山葡萄ほど大きな蔓になるという傾向があるようです。・・・こんなにも大きくなるまで 幾年の歳月を要したのでしょう、・・・人間の勝手で木には害蔓でも採取がためらわれる山葡萄の蔓なのです・・・

山葡萄樹皮の採取,皮剥ぎ、乾燥

蔓の伐採と玉きり
山の木こり先生から以前キハダを採りに来てといわれてキハダの皮を剥ぎに行きました。木の表面は硬いのですが 表面をはがすと中から黄色いもう一枚の皮が出てきました。幹と皮には液体のようなものがあってヌルヌルしているような 感じです。このとき木は芽吹きから花を咲かせる時期に幹芯とこの皮の間から多量の水分を吸って成長するのだと教わりました。 この時期のほとんどの木は皮がむきやすいといわれました。幹の中を水が吸われていたと考えていましたが間違えていました。 山葡萄の材料採取もこの水を大量に吸い込む時期が皮を剥くには適した時期なのです。この時期は地域などによって違うようです。 ・・・・山葡萄の蔓を切り落として適当な長さに切ります。長ければ長いほど紐には適しますが皮を剥ぐには作業性や良質な皮を採取できる 意味合いなどから1,5~3mぐらいに玉きりしました。

皮を剥ぐ・・そのⅠ・・
・・Long long ago(むか~しむか~し)の住居の屋根は「かやぶき」や「杉の皮」でした。「かやぶき」は少しだけ裕福な家庭、 ・・しとしとぴっちゃん「子連れ狼」にでてくるような光景では「杉の皮」で葺いた簡素な屋根でした。 「杉の皮」は多く利用されていました。この杉の皮を剥ぐには工夫された道具が利用され玉きりされた丸太の皮を直ぐに剥ぐのだそうです。 山葡萄の皮を剥くにも同じ理屈のようです。切り倒し皮を剥ぐまで時間をおくときれいに剥けなくなるという理由です。できるだけ採取地で皮を剥ぐ作業を 行うことがきれいに剥くコツの第一歩のようです。この皮剥ぎには訓練された特別な技術が要るように言われてますが全くの初めての人たちで やりました。皮を剥く作業には一定のルール(基準)を決めておくことが必要だと後日わかり作業標準つくり?をすることにしました・ そうすることである一定の品質が保たれロスの少ない良質な材料が採取できることになります。

皮を剥ぐ・・その2・・
・・Long long ago(むか~しむか~し)山の仕事には飯ごうを持参しての仕事でした。ご飯以外にオカズは梅干2個、クジラの塩びき(塩で真っ白くなっているクジラ肉の塩焼き) がご飯の上にのっています。飯ごうの蓋に水を入れて時々水を飲んだりご飯に水をかけて食べてました。水がなくなると「サルナシ」や「ヤマブドウ」の蔓を切ってそこから滴り落ちる樹液(水)を利用して 山仕事をしたのです。・・・辛い?・・いえいえ・・辛いことより将来の夢を見ての楽しい作業だったようです。ヤマブドウの樹液を水代わりに普通に飲んでいたんです。 昔の人たちは自然と共に生活をしていたのです。今の「ヤマブドウの皮剥ぎ作業」をみたらきっと歯がゆいかもしれません。きっと「ヤマブドウの皮剥ぎ」の技をもっていたことでしょう・・ 誰に教わることなく稲刈り鎌を使いもくもくと作業を続けてこんなに沢山できました。・・・でも?・・これでいいのかな?・・・

皮を剥ぐ・・その3・・技ミウラ「とうもろこし」・・
皮はできるだけ幅を広く長く剥ぐことが皮を剥ぐ技術です。何度やっても途中で切れたり、節のところで割れたりで思いどおりにできません。太いほど きれいに剥けやすいのですがそれでもうまくいきませんでした。あるとき剥いた束に奇麗に剥かれた皮があるのです。見てみるとスタッフ三浦さんの技のようです。 次から次に幅の広い長い見事な皮が剥がれてくるのです。この皮剥き技を「技ミウラ」と命名し、やり方を教わりました。「簡単ですよ、とうもろこしのむき方です」と いうのです。昨日雨の中の作業終了後シャワーを浴びて「とうもろこし」を食べました。この「とうもろこし」の食べ方がヒントになったそうです。 真似をしましたが「とうもろこし」同様私たちにはうまく剥く事ができません。・・・やっぱりこの技は難度ウルトラD「技ミウラ」「とうもろこし」にふさわしい技です。・・・ これでとっても良い皮ができそうです。・・

山葡萄樹液・・
山葡萄の切った幹からは樹液が流れ落ちてきます。この樹液を山の仕事人は水代わりに飲んだりしたのだそうです。 樹液を飲んでみるとやや甘い味がします。水はしばらくすると塊状になってしまいました。この樹液美容に効果があるようで肌に擦りこんでみました。 ゼラチン質になった樹液は少しベタベタします。これで虫が寄り付かなるのではと思いましたが、虫たちは一向に お構いなく突進してくるのです。・・ダメか・・・やっぱり美容にしか使えないのか・・・

山葡萄樹皮構造

皮は重層構造・・鬼皮、外皮、内皮・・
剥いで見ると皮は何層もの重層構造になっていました。通常一番外側の皮は「鬼皮」と呼ばれています。木の樹皮を守る大切な役目の皮です。杉の皮のように ガサガサゴツゴツしていかにも「鬼皮」にふさわしい皮でそれを縦に剥がしていきます。鬼皮の次にある皮を「外皮(がいひまたはそとかわ)」と名づけました。 鬼皮や外皮は何層かになっています。更にその下にきれいな皮がありました。これを「内皮(ないひまたはうちかわ)」とよぶことにしました。

鬼皮と外皮、内皮の名称について
・・鬼皮と外皮の違いは表面のゴツゴツバサバサしたものが「鬼皮」でその下に出てくるものを「外皮」と呼んでいますが、「内皮」を含めた これらの名称は学術的な正式な名称ではありません、当店が利用する樹皮をわかりやすく分類するために命名した名称です。 特に「外皮」は樹皮の名称に多くでてくるために分類しました。
「鬼皮・・おにかわ」・・山葡萄樹皮の一番外側表面にあるゴツゴツバサバサした固く厚い樹皮、何層にもなっています
「外皮・・そとかわ、がいひ」・・鬼皮を剥いで次にでてくる樹皮、これも何層にもなっています、鬼皮の部分として見られているところもあります
「内皮・・うちかわ、ないひ」・・外皮と幹(心材)の間

重層構造図
このように幹(芯材)を皮が重層で覆っています。外側を鬼皮、幹に付着しているのを内皮、鬼皮と内皮の間にあるものを外皮と 名づけました。鬼皮や外皮は何層にも重なり合っています
樹皮の商品はこの名称をつけて販売します。部位をご確認の上お買い求め下さい
*・・山葡萄の樹皮で鬼皮付となっているのは鬼皮と外皮を区別することなく内皮以外の外の皮を全て鬼皮と見ているものと思われます。

鬼皮

鬼皮とは
・・山葡萄の皮は幾重に重なり合ってできてる重層皮ですが、その一番外部に面して表面にあるものを「鬼皮」と呼びます。 この鬼皮も樹齢や生息地域により変化が見受けられます。山葡萄全体を風雪等からの外部の刺激に対して保護し木などの摩擦などからも 防御している役目があります。全体には若い樹木は紫褐色、ある程度の樹齢になると灰褐色に近く厚くバサバサした感じです。山葡萄の蔓は太さ10数センチにもなり高く伸びた蔓の長さは 20mにも達し、想像を超える巨大な蔓を保護する大事な皮です。

鬼皮の状態
・・・山葡萄の鬼皮はおおよそ樹齢5年ぐらいまでは厚い鬼皮に守られていますが、長年の風雪で鬼皮の表面は剥がれ鬼皮の次の外皮が見えている蔓は普通です、 剥がれた鬼皮は枝から空中に大きく垂れ下がります。剥がれた後に見えている外皮ですが鬼皮のように灰褐色となり鬼皮と外皮の区別がわからない状態となります。 皮を剥ぐ時は手で鬼皮を剥がしますが鬼皮自体も幾重も重なり合って出来ているために外皮との明確な区別はほとんどありません。手で簡単に剥がれるゴツゴツバサバサする部分を 鬼皮と区分しています。

鬼皮と外皮

鬼皮と外皮
・・鬼皮と外皮の明確な違いはありませんが、画像のように剥がれていて表面がゴツゴツバサバサした感じの部分を「鬼皮」と呼んでいます。 この鬼皮は手で簡単にバサッと剥がれます。その下に出てくる皮を「外皮」と呼びますがこの皮は手で剥がれることもありますが何か道具を使わないと 剥がれることはありません。この外皮も幾重にも重なり合って出来ています。おおよそ「内皮」に届くまでは3~4枚剥がすことが必要です。 商品仕様で「外皮」となっているのは鬼皮を剥がして内皮に達する間の色合いの良い皮部分を選別したものを「外皮」と名づけています。

鬼皮と外皮
画像の樹皮はとても良い一級品の樹皮です。普通にはこのような奇麗な樹皮は少なく鬼皮はめくれ、外皮が現れて灰褐色になっているものがほとんどです。 ほとんどの表面の鬼皮は容易に手で剥ぎ取ることができます。このような奇麗な樹皮の場合には奇麗な外皮が現れてきます。通常はこのようにいかずに 鬼皮と外皮の区分がほとんど出来ないくらいです。

 

鬼皮付と外皮
若い山葡萄の樹皮はこのように鬼皮もきれいです。この鬼皮を剥いで外皮の状態にしました。外皮は何層にもなっていて 内皮に近い外皮は奇麗な肌色をしています。この内皮に付いてる外皮まで何層か剥いでいくことになりこの剥いでいく途中の 外皮を「山葡萄樹皮の種類・・「外皮」」となります。またこの内皮に付いてる外皮も剥がれることがあります。(何故剥がれるのものがあるのか 現在は不明です)そのため「外皮には2種類」あります。

外皮

 外皮は山葡萄樹皮の表面
・・外皮は篭編みで使用する「山葡萄樹皮の表面」になる部分です。鬼皮を剥ぐと次に出てくるものは外皮とですが、この外皮は 鬼皮と一体となっているのもあって鬼皮と混同され紛らわしい部位です。外皮は内皮に至るまで2~4層になっています。この外皮を 内皮と一体となった部分の外皮まで剥いでいきます。でもその部分までに剥げないものも沢山あり、その為に「山葡萄樹皮の種類」は 色合いや厚さの違う何種類にも分類されていきます。

外皮は複層構造
外皮は複層構造になっています。おおよそ2~4層の皮に覆われて、始めの外皮を剥くと次の外皮が現れます。 内皮と一体となった外皮まで剥いでその部分にきたら内皮と一体となった外皮を剥いで「山葡萄樹皮」となります。 外皮は全てがこのように剥ぐことは稀ですのでいろな外皮付きの「山葡萄樹皮」となるのです。

 

外皮の利用を探る
・・外皮そのものは「山葡萄樹皮」の表面となり「山葡萄篭」などの表面に現れるものです。内皮に至るまでの外皮を そのまま廃棄処分するのはもったいないのでの樹皮としての利用方法を探ることとして良質なものだけを選別して見ました。

 

 

外皮と内皮

外皮+内皮は「山葡萄樹皮」・・その1
・・外皮を剥いで内皮に付いている最後の外皮にきました。最後の外皮は内皮と一体で芯材から剥がします。 この外皮+内皮を「山葡萄樹皮」として篭編み材料として利用します。画像では内皮と一体となった奇麗な外皮ですが、外皮はこのように 奇麗な状態でここまで剥がれる事は少なくそこで一枚目から3枚目までのいろいろな外皮つき「山葡萄樹皮」が現れてくることになります。

外皮+内皮は「山葡萄樹皮」・・その2
・・外皮+内皮は「山葡萄樹皮」ですが、外皮付きの状況から種類を分類することにしました。4層目の外皮付き「山葡萄樹皮」は 表面も奇麗ですべすべして厚みも均一でそのまま利用できそうな種類です。反対に一層目に近ければ近いほど表面の肌は荒れて 皮は厚く場合によっては厚みを均一にするための削り作業なども必要となります。

 

内皮(ないひまたはうちかわ)
外皮は内皮と一体となった4層目の外皮まで剥がれることがあります。(その理由は良くわかりません、採取時期に付随するものかもしれませんが) そうすると内皮そのものだけが残ることになります。内皮(ないひまたはうちかわ)は、すべすべしてきれいな色をしています。 厚みも一定で安定した樹皮です。厚みが少ない為にボリューム感に欠ける嫌いがありますが用途によっては優良な樹皮です

 

山葡萄樹皮の採取体験

樹皮の採取体験
篭の編み手の人たちにも山葡萄の樹皮採取を体験していただこうと 採取時期に現地へ案内して採取体験をしていただいています。 なれない山は大変だと思います。虫が寄ってきて皮むき作業どころではなくなります。 体験は毎年一回少人数で行っています。・・・