くるみ(クルミ)

クルミの皮で篭を編むのは聞いていましたが皮の採取は想像とは違うものでした。桜の皮を剥ぎ取るように幹の周りを剥ぎ取るものと思っていましたが そうではなく小さな木や枝をそのまま倒したり、切り落としたりして皮を剥ぎ取るのです。クルミにも種類があることもわかりませんでした。クルミは 秋9月頃にキノコの採取に地面に落ちている物を拾っていたのでクルミの実がならないクルミがあったことに驚きました。その実の付けないクルミの木を 奥山ではいつも見ていましたがその木は「楡の木」だとばかり思っていたのです。クルミは河原などに勝手に生えて河川敷の邪魔な木として あまり利用されることが無く扱われているように見えていましたが利用方法でこのように変化することにも驚いています。これからは見地を広げて 物を見るようにしたいと思わされるクルミの木です。

鬼(山)くるみ(クルミ)

実のなるクルミは鬼クルミ
実の付けるクルミの木で「鬼くるみ」とか「山クルミ」とかよばれいます。普通にどこでも見ることのできる クルミの木です。先のとんがった殻が割れやすい鬼クルミよりやや小さい「姫クルミ」と呼ばれているものもあります。 この鬼クルミ(山クルミ)は河原周辺に野生で生い茂り民家周辺にも多く秋には「クルミの実」として採取されています。 「実」は人間や野生動物の食料として広く利用されています。

 

鬼クルミ遺伝子・・・・の立て札・・
山形に抜ける国道に「鬼クルミ遺伝子・・・」とかいう立て札があったことを思いつき早速行って見ました。周囲には鬼クルミらしき クルミの木が繁茂しています。奥山に近いところなので何故この立て札が立てられているのかはわかりません。とくに貴重な保護が必要な 鬼クルミではないようなが気がしますが??・・・周囲のクルミの木もその他の地域とは異なっているようにも見えませんでした・・・

 

鬼クルミの花
クルミの花をこんなに観察したのは初めてです、枝の先端には画像と同じような花が垂れ下がり、枝の中間側芽にも 花が付きます。この花は全て雄花のようです。この花は4月後半から5月にでてきます。

 

 

 

鬼クルミの特長 1. 枝分かれ
通常鬼クルミと沢クルミとを同じ場所に生息していても見分けることはほとんどできません。木の色や葉、その他などは 何の変りもない同じクルミの木に見えてしまうのです。特長を上げるとすると鬼クルミは枝が同じ場所から鳥の脚状に 分かれています。この違いがあるのですが・・やっぱりわかりずらいかなあ~

 

鬼クルミの特長 2. 葉が大きい
会長先生の見分け方法は「葉の大きさだ」といいます。葉が大きく一見で違いが判るのだそうですが 沢クルミを見馴れて無い人には・・・・・その違いはやっぱりわかりずらいです~・・・

 

 

鬼クルミの特長 3. 節が少なく枝がきれい
鬼クルミの皮を剥いてみると綺麗に剥けました。山ぶどうとは大違いです。枝もまっすぐで節も少なく 綺麗な樹皮が採取できます。

 

 

 

鬼クルミの樹皮の色
鬼クルミの樹皮の内側、外側、幹材を見てみます。外側は白色に近い物が多く内側は採取時は白色ですがそのご黒色に変化しますが 樹齢によって色の変化が違うようです。全体的には黒色になりますがなかにはあまり変化のしない樹皮もあります。 クルミの樹皮は表(外側)内側と交互に利用され編まれることが多いので鬼クルミでも十分に模様を作ることは可能です

 

鬼クルミの樹皮と採取
クルミの樹皮は幹が太ければ皮も厚く、枝が細ければ皮が薄いというふうになります。太い木からは厚い幅広の樹皮が採取でき 細い枝からは薄く狭い幅の樹皮となります。採取の目安的な太さは2~10cm位が樹皮としては適しているように思います。 採取は幹をカッターなどで2つ割にします。あまり小さく分割すると幅の狭い樹皮となるので2つ割ぐらいで採取しなるべく柔らかいうちに 内側を表面にして丸めて縛ってやります。乾燥すると固くなりその後の作業がしずらくなるためです

鬼クルミの樹皮
樹皮の内側は採取時は白く時間がたつにつれて黒色に変化します。中には変化の少ない物もあります。 沢クルミの樹皮と比べると樹皮適には良い物が多く固くて丈夫、反面編みずらいのかなとも思います

沢くるみ(クルミ)

沢くるみ(クルミ)
「実を付けないクルミ」・そんなクルミの木があることは全く知りませんでした。クルミの皮を採取すると不思議なことに気が付きました。 あるところで採取したクルミの皮には色の変化があり、あるところのもには変化が見られないというものです。採取時期や場所の違い、または クルミの木と間違って他の木を採取したなどとその違いがわからなかったのです。・・ある渓流釣りの時、会長先生が沢クルミが邪魔して 思ったところに糸を垂らせないと言ったのです。・・・沢クルミ??・・沢クルミって・・この木が・・その木はずーと楡の木だとばかり 思っていた木でしたから・・・・そうか沢クルミってこの木か・・やっと沢クルミを覚えたのです・・・その木は奥山にはどこにでも見ることのできる木でした。

沢くるみ(クルミ)の花
奥山の湿地沢添いにはこの沢クルミの大木が沢山あります。沢クルミの花が7月に垂れ下がるように咲いています。鬼クルミとは違う 花でまるで七夕飾りや風鈴のように見えました。

 

 

 

沢クルミの特長
沢クルミの枝は鬼クルミのようにあるところから枝分かれせず互生してついています。また葉も鬼クルミに比較して 小さく可愛い葉ぶりです。この枝が互生することが樹皮の皮では大きな欠点があります。それは皮に節穴があることです。

 

 

沢クルミには節穴が多い
「沢クルミ」の樹皮内側です。画像のように節穴がところどころにあります。長いひごを採りたいときには この節穴が邪魔になりますがこの欠点よりも内側の樹皮の色が好まれて欠点を補っています

 

 

沢クルミと鬼クルミの樹皮比較
鬼クルミと沢クルミの皮を剥いた内側の状態を比較してみました。鬼クルミの皮はきれいな色をしています。一方沢クルミは 内側の皮の色に変化が生じて来ています。赤茶色に変化しているのです。・・・クルミの皮で篭などを編む時にこの色の変化が好まれて 「沢クルミ」を求める方が多いようです・・・・。

 

沢クルミの樹皮色合いの変化
沢クルミを採取してくると内側の色が変化していることに気が付きました。その色の変化は皮の表面に刺激を与えることで より鮮明な色が出てくるようで採取後表面を洗浄するとともに内側もタワシでゴシゴシと刺激を与えてやります。 すると表面の色素に変化が出て画像のような色合いになっていくのです。更に時間と共に色合いに変化が見られます。 この色合いの変化にも樹齢が関係するようです。若い木は赤茶色、高齢は黒茶色が多いようです。また鬼クルミ同様 色合いの変化の少ないものも混じりますが理由はよくわかりません。

沢クルミの樹皮と色合い
その後沢クルミの内側は色の変化を続け様々な色合いが生まれて全体的には黒茶色系が目立つ色が多くなります。 この色合いの変化の微妙さ奥深さが編み手や利用する人を惹きつけているようです

 

 

 

沢クルミの樹皮
樹皮は鬼クルミに比較するとやや柔らかな感じがします。でも節が多く良質なひごを作ることは 少し厄介かも知れません